(本投稿は米国時間2022年9月20日付のブログ投稿の日本語抄訳です。内容に齟齬がある場合、原文を正とさせていただきます。)
適切な自動化の文化を確立するためには、通常、自動化センター オブ エクセレンス (CoE) を構築して組織の投資を最大限に活用できるようにすること、また、デジタル トランスフォーメーションを制御下で進めるための RPA や他のハイパーオートメーション シナリオの開発に使用するガードレールを策定することが必要です。マイクロソフトは 2021 年 12 月の時点で、HEAT (包括的なエンタープライズ自動化技法) (英語) と自動化の導入ベスト プラクティス (英語) に関するブログ記事 (英語) を公開しています。
また、自動化キット (旧称「自動化 CoE スターター キット」) のプライベート プレビューをリリースし、世界中の多くのお客様に開発の初期段階からご利用いただいています。
そして本日は、オープンソースの GitHub プロジェクトとして、Power Platform 用自動化キットの一般提供を開始しました。
自動化キットの概要
Power Platform 用自動化キットは、業界のベスト プラクティスに基づいて自動化プラットフォームを導入しようとする企業の管理、ガバナンス、拡張を支援する目的で設計されています。このツールキットは HEAT (英語) の概念に基づいて開発されたコンポーネントやツールのセットであり、Power Apps と Power Automate を使用して構築されています。このため、このキットは必要に応じて簡単に拡張、カスタマイズすることが可能です。
この Power Platform 用自動化キットは、企業の自動化 CoE を加速させるためのツールです。複数の Power Apps アプリや Power Automate フローが含まれており、既成ソリューションを使用して、自動化プロジェクトを管理したり、測定値をほぼリアルタイムで追跡したり、インサイトを取得したりして自動化に取り組むことができます。このキットの開発にあたっては、ハイパーオートメーションや RPA のプラットフォームに Power Automate を選択した、世界中のお客様からのフィードバックを参考にしています。
導入事例: Cineplex、自社の自動化センター オブ エクセレンスの確立を自動化キットで加速
Cineplex Inc. は、数百万人の利用者が来場する 170 以上の映画館やエンターテイメント施設を運営している大手メディアおよびエンターテイメント企業です。
Cineplex の税務および財務担当バイス プレジデントを務める Bo Wang 氏は、2020 年 9 月に Power Automate デスクトップ フローを導入し、チームの業務を自動化しています。プロセスの効率化や時間の節約といったメリットを実感した後、自動化センター オブ エクセレンスの設立を決定し、Power Automate の利用を社内全体に拡張することにしました。まず、自身のチームに自動化キットを導入し、自動化開発ライフサイクル全体にわたる管理と視覚化を実現しました。Cineplex が自動化キットを活用して得られたメリットは以下のとおりです。
- 自動化センター オブ エクセレンスの開発を加速
- アイデア出しから実稼働までの自動化ライフサイクルを一元的に管理
- 経営陣と運用チームの両方が、自動化による投資収益率 (ROI) のインサイトを取得できる
自動化キットに含まれるもの
自動化プロジェクト マネージャー
組織の自動化の取り組みの管理と、ROI を計算するための指標の定義に使用するアプリです。
プロジェクトは自動化センターで管理される
ソリューション測定
Power Automate クラウド フローやデスクトップ フローなどのアーティファクトと、自動化プロジェクトの定義を紐付ける機能が含まれており、自動化による成果が自動で取得され、計算されます。
アーティファクトがソリューション測定に添付され、指標が自動で測定される
自動化 CoE ダッシュボード
自動化プロジェクト、ROI、目標などの情報をまとめて確認できます。複数のビューや指標が提供され、ユーザーが自動化プロジェクトで定義した内容に基づいて自動的に計算、更新されます。
これにより、どの自動化プロジェクトが効果を上げているかを複雑度スコアで判断し、節約効果を試算して、自動化への投資の優先順位が適切かどうかを確認できます。
自動化が確立された後は、節約効果や目標達成に向けた状況を追跡できます。
ダッシュボードに複雑度スコアとプロジェクト一覧が表示される
使用を開始する
ここでは自動化キットの便利な機能の概要を紹介してきました。使用開始にあたっては、以下の資料を参照してください。
- 自動化キットの GitHub リポジトリ (英語)
- 自動化キットの概要ドキュメント
- 自動化 CoE の戦略 (英語)
- HEAT (英語)
- HEAT のビデオ シリーズ (英語)
- 自動化の管理とガバナンスに関するホワイトペーパー (英語)
次のステップ
企業のお客様の多くは、自動化を導入し、その文化を企業全体に拡張したいとお考えです。マイクロソフトはそうしたお客様からのフィードバックに基づいて、今後も自動化キットの機能を進化させていきます。
オープンソース バックログのうち優先的に対応している機能の一覧を定期的に公開し、翌月の更新プログラムでリリースするようにしています。
定期開催している Office Hours の次回の日程は、10 月 11 日 (火) 午前 7 時~ 8 時 (PDT) (日本時間は同日午後 11 時~ 翌午前 0 時) です。登録は https://aka.ms/ak4ppofficehours (英語) からお願いします。新機能や導入予定の機能をご紹介するほか、質疑応答の時間を設けて自動化キットの利用に関するフィードバックをいただき、お客様への影響が大きい分野を把握して開発の優先度の参考にさせていただきます。
免責事項
自動化キットの構築に使用する基盤の機能やコンポーネント (Microsoft Dataverse、管理 API、コネクタなど) は完全にサポートされますが、キット自体はこれらの機能のサンプル実装となります。お客様やコミュニティの皆様はこれらの機能を使用、カスタマイズして、ご自身の組織に管理機能やガバナンス機能を実装することができます。
問題発生時の対応:
- キットの使用について: aka.ms/automation-kit-issues に問題を報告してください。Microsoft Support ではこのキットに関連する問題への対応は行いませんが、キットの基盤となるプラットフォームや機能に関連する問題に対応します。
- Power Platform のコア機能について: 通常のチャネルからサポート担当者までお問い合わせください。
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