本投稿は米国時間11月10日付の ブログ投稿 の日本語抄訳です。内容に齟齬がある場合、原文を正とさせていただきます。
マーケティング テクノロジ、いわゆる MarTech のスタックを構築するアプローチには、ベスト オブ ブリード(マルチベンダーの組み合わせ)とシングル ベンダーの 2 つがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。現在、企業のマーケティング運用チームやビジネス リーダーは、必要なタスクを達成するために「個別実装」と「統一実装」のどちらが適しているかを再評価することが求められています。
状況の変化
デジタル トランスフォーメーションを推し進めていく中で、マーケティング担当者は、2 つの相反するマーケティング テクノロジ スタックの構築手法の中から、どちらかを選ぶ必要に迫られています。1 つはベスト オブ ブリードで、Technopedia (英語) では「該当するニッチな分野やカテゴリにおいて最良のシステムであり、統合システムよりも特化した機能を発揮するが、効果はその分野に限定される」と定義されています。後半部分がベスト オブ ブリードの性質をよく表しており、必要不可欠な個々の機能を異なるベンダーから集めることで、統合システムよりも高いパフォーマンスが発揮されるという考え方です。この手法は、多くの企業で採用されています。
企業間 (B2B) マーケティング エージェンシーの Walker Sands が、マーケティング、販売、広告の専門家 300 名以上を対象に行った調査 (英語) の結果、この 10 年の間にベスト オブ ブリードの戦略が浸透し、回答者のマーケティング スタックの 40% 以上で採用されていたことがわかりました。「シングル ベンダー ソリューションでは質の高いアプリを期待できない」というベスト オブ ブリードが発信するメッセージが、この傾向の要因の 1 つとされていますが、現在この主張には疑いの目が向けられています。
シングル ベンダー ソリューション
現在の統合型エンタープライズ ソリューションで注目されているのは、アプリの機能と使いやすさ、そして、シングル ベンダーを選択することによって得られるメリットです。このアプローチの製品は、単一のデータ マートを使用する総合的な統合型ソフトウェア スイートとして提供されることが多く、単一ソースで統合的に実装、運用、トレーニングを実施できるというメリットがあるほか、個々の製品の機能や能力も、競合するベスト オブ ブリード製品に匹敵するものとなっています。どちらのアプローチを採用するかを選択する際は、その製品の使いやすさ、機能、ビジネス価値が、ベスト オブ ブリードの競合製品のそれと同等であるかを比較することが重要になります。
シングル ベンダーの共有プラットフォームを選ぶメリット
ブラジルの大手物流企業である TPC Logistica Inteligente (以下、TPC) は、さまざまな分野の顧客を抱え、平均サイクルは 8 か月に及んでいるほか、自社の販売プロセスが複雑という課題を抱えています。同社が最も求めていたのは、堅牢な顧客関係管理 (CRM) ツールでした。そのため、市場に出回る有力なソリューションをいくつも詳細に分析したところ、最終的に Microsoft Dynamics 365 Marketing と Microsoft Dynamics 365 Sales を実装することにしました。これらは共通のプラットフォーム上で運用することができます。
TPC は、マイクロソフトとそのパートナーである Inove によって提示された綿密な実装計画に従い、2 か月足らずでこれらの導入を完了させました。「年間 300 万件もの配送業務を担う当社にとって、製品をどのように実装できるかが導入の決定において重要でした」と、TPC のイノベーション マネージャーを務める Silas Faria 氏は言います。
Dynamics 365 について、TPC がまず感銘を受けたのが、実装の速さとスムーズさでした。実装後、Dynamics 365 Marketing の運用を開始すると、すぐにメールと電話の追跡が可能になり、顧客を絞り込むことができました。こうした画期的な機能によって、顧客関係と市場における自社の見通しをすばやく改善することができました。*TPCの事例記事(英語)はこちら。
Dynamics 365 Marketing と Dynamics 365 Sales には、互いにネイティブに連携し、順応性が高いプラットフォームを共有するという技術的なメリットがあります。このことから TPC は、これらが他のマイクロソフト製品ともすぐに統合可能な、実質的な「ベスト オブ ブリード」ソリューションであり、共通のデータ モデルと Dynamics 365 のカスタマー エンゲージメント プラットフォームを共有するということを理解しました。これなら、ベスト オブ ブリードとシングル ベンダーの両方のメリットが得られます。
ビジネスを構築するための環境構築
Dynamics 365 Marketing と Dynamics 365 Sales を選択したことで、他のマイクロソフト製ソリューションや ISV の各種サードパーティ製ソリューションをスムーズに統合できるようになりました。TPC は、自社データを Microsoft Power BI ダッシュボードに送ってインサイトを取得し、意思決定に活用しています。また、Microsoft Power Apps を使用して、ビジネス データと配送センターの倉庫の空きスペースに関する情報を連携させるアプリケーションを作成しました。
TPC グループにとって、Dynamics 365 は「ベスト オブ ザ ベスト」のソリューションです。Dynamics 365 Marketing と Dynamics 365 Sales では、顧客を把握する方法を刷新しました。Power BI と Power Apps では、情報の収集や分析の方法を変化させ、ビジネスの成長を促進しました。TPC で宣伝およびマーケティング ディレクターを務める Eduardo Leonel 氏は、「スピード、プロセスの質、戦略管理を改善することができました」と評価します。これらはすべて、シングル ベンダーである Dynamics 365 のソリューションとプラットフォームで実現されました。これに加え、同社はカスタマー エンゲージメントに利用するために、Dynamics 365 Consumer Insights や Dynamics 365 Customer Service といった他の Microsoft Dynamics 365 アプリケーションも容易に追加することができます。
Dynamics 365 Marketing と Dynamics 365 Sales を採用したことで、驚くほど大きな影響がありました。顧客変換率が大幅に変化し、2019 年には非常に複雑なプロジェクトが新たに 16 も追加されました。これは、前年の 2 つと比べると大きな変化です。
将来の見通しがより明確に
対応の遅れやサービスの停止が許されない競争の激しいビジネス環境において、統合や展開を迅速かつスムーズに行えるようにしてくれるのが、統合ソリューションです。ベスト オブ ブリード ソリューションを提供する企業は各カテゴリでベストな製品を提供しなければなりませんが、Dynamics 365 ソリューションもそれと同様で、各カテゴリでベストな製品を提供しなければなりません。
一部の大手シングル ベンダー スイートのプロバイダーが、競合するベスト オブ ブリード プロバイダーを買収して自社ソリューションを拡大する際、対応が不十分なことがあるため注意が必要です。表面的には「両方のいいとこ取り」に見えますが、このハイブリッドのアプローチには、統合の面で不完全さが残ります。特に、開発元のベンダーが異なるアプリケーションどうしをシームレスに接続するような場合です。
一方、Dynamics 365 はシングル ベンダー ソリューションであるため、構成、使用、拡張が容易であると同時に、ベスト オブ ブリードのメリットも得られます。Dynamics 365 アプリケーションは、適応性と拡張性が高いプラットフォーム上でビジネス プロセス全体のデータを統合する共通データ モデルによって構築されているため、アプリケーション間の相互運用性が確保されています。
また、Marketing、Sales、Customer Insights、Finance を始めとする Dynamics 365 アプリケーションの各チームは、ベスト オブ ブリードと同等のパフォーマンスを実現するために尽力しています。たとえば、Dynamics 365 Marketing では、イベント管理によるマーケティングの自動化、Dynamics 365 Customer Insights の統合、LinkedIn へのコネクタ、AI ベースの機能などを強力に連携させることが可能になりました。Dynamics 365 でマーケティングと販売のアプリケーションを連携させれば、顧客の理解を深めたり、リモートでのコラボレーションが可能になるだけでなく、購買プロセスを最適化し、変化の激しい環境に迅速に対応できるようになるなど、さまざまなメリットが得られます。
多くの企業、特にビジネスの成長に野心的な多くの企業が、ベスト オブ ブリード製品をカバーするシングル ベンダー ソリューションの一貫性を支持しています。どちらか 1 つしか選べない時代はもう終わったのです。
関連情報
Dynamics 365 Marketing、Dynamics 365 Sales、その他の Dynamics 365 ソリューションの機能をフル活用することで、どのように今日の課題を克服できるかぜひご確認ください。
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