Dynamics 365 と Power Platform を活用して、少ないリソースで最大の効果を発揮する方法

（本投稿は米国時間2022年12月5日付のブログ投稿の日本語抄訳です。内容に齟齬がある場合、原文を正とさせていただきます。）

経済成長は循環する。これはビジネスにおける単純な事実です。不透明な時期を乗り切るには、どの業界でも人材やテクノロジへの投資を戦略的かつ着実に行うことが求められます。時間を短縮し、コストを節約し、複雑さを抑えて、少ないリソースの中で最大限の効果を発揮する必要があります。

企業のテクノロジ投資においては、通常、コスト削減と複雑さの軽減が最も重視されます。少ないリソースでできるだけ成果を高めることで、2 歩後退ではなく確実に 1 歩前進させ、よりレジリエントで俊敏なビジネスの構築につなげます。

このブログ シリーズ 1 回目では、先の見えない常に変化する今日の状況の中で、チームをどのように進化させることができるかについて説明していきます。どうすればビジネスに制限をかけるのではなく、リソースを抑えながら俊敏性の向上や成長を後押しできるかを見ていきましょう。

企業が少ないリソースで最大限の効果を発揮するための Microsoft Dynamics 365 と Microsoft Power Platform の活用方法

はじめに、Dynamics 365 と Microsoft Power Platform の活用によって、コストを抑え、複雑さを軽減しながら、組織のすべての従業員がカスタマー エクスペリエンスとオペレーション エクセレンスの強化に集中できるようにする方法を見ていきます。

総所有コストの削減

先行きが不透明な時期には、イノベーションを継続し、加速させることが不可欠です。特に、複数のオンプレミス ソリューションやサービスを混在させ、システムの冗長性やサイロ化、重複、維持費といった課題を抱えている企業にとっては、重要な点です。レガシ システムからクラウドへの移行は、特にスピードやイノベーション、迅速な成果の達成が求められるビジネス環境では必須と言えます。マイクロソフトが Forrester Consulting に委託して実施した 2020 年の調査では、複数の対象顧客の調査結果を集約した数値として、インフラストラクチャの更新、冗長なエンタープライズ リソース プランニング (ERP) ソリューションの改善、サポート コストの整理により、3 年間の ROI が 109% に達しました¹。

マイクロソフトの統合プラットフォームをご利用いただくことで、時間、コスト、複雑さを抑えながら、俊敏性とイノベーションの効果を高め、オペレーションの大幅な効率化と顧客関係管理 (CRM) コストの削減を実現することができます。事実、CRM のプロセスに Dynamics 365 を導入した企業は、Salesforce を利用していたときと比べて最大 50% の削減に成功しました²。Microsoft Power Platform を使用すれば、さらにイノベーションを加速させ、他のローコード開発プラットフォームと比べてコストを最大 80% 削減することが可能です³。

統合ビジネス クラウドでコスト削減と効率化を実現

Dynamics 365 では、企業と顧客のデータ、関係、ワークフローを 1 つの包括的なビジネス クラウドに集約することができます。このため複雑さが軽減され、大幅な業務効率化、部門間の連携強化、カスタマー エクスペリエンスの改善が可能になります。Microsoft Power Platform は、Dynamics 365 と連携させることも、単独で使用することもできます。だれでもローコード ソリューションを構築できるので、開発プロセスに貢献して技術部門の対応能力を増強し、企業全体の技術力を高めることができます。

こうした効果をうまく活用しているのが、MVP Health Care です。MVP Health Care は国の認定を受けた地域非営利医療保険機関で、使用していた仮の CRM 環境を Dynamics 365 に置き換え、一元的なメンバー エンゲージメント プラットフォームを構築 (英語) しました。また、Microsoft Power Platform も導入し、ビジネス プロセスを最適化し、ワークフローを合理化して、課題を解決しました。プロセスを標準化し、メンバーへの提供価値を高め、地域の健康促進に貢献しながら、年間 600 万米ドルの節約を達成することが見込まれています。

従業員の能力増強を支援し、俊敏性とイノベーションを促進

情勢が不安定な中、少ないリソースで成果を発揮するというのは、今よりも長時間働いたり、過酷な業務内容をこなす必要があるという意味ではありません。必要なのは、従業員の能力を増強し、企業がより高い成果を達成できるよう支援するテクノロジです。

マイクロソフトは、マーケティングから営業、サービス、サプライ チェーン、財務、オペレーションに至るあらゆる部門が変革するために必要なデジタル ツールをビジネス アプリケーションに統合しています。クラウドを利用して組織全体の人やデータをつなげ、ビジネス プロセスを合理化することで、本当の意味で、少ないリソースでより大きな成果を達成できるようになります。

データの統合と AI の活用で、プロアクティブなインサイトの獲得と自動化を推進

マイクロソフトは AI に多大な投資を行っており、マーケティングから営業、サービス、サプライ チェーン、財務、オペレーションに至るあらゆる部門の従業員がこれを利用して変革を生み出せるよう支援しています。Dynamics 365 と Microsoft Power Platform では、一元化されたデータ、予測分析、AI を利用することが可能で、従業員は予測的なインサイトとガイド付きワークフローを活用して、正確な情報を基に必要な業務に集中することができます。

Microsoft Power BI では、セルフサービス型の分析をエンタープライズ規模で実施し、コスト増につながる複雑さや複数のソリューションを活用するセキュリティ リスクを軽減するのに役立てられます。

Microsoft Dynamics 365 Sales では、営業担当者が電話商談中に会話インテリジェンスからリアルタイムでガイドを得られる営業インテリジェンスを利用して、顧客の状況をすばやく理解し、早期の契約締結につなげられます。最近 Forrester Consulting が実施した Total Economic Impact (TEI) の調査 (英語) によると、Dynamics 365 Sales を使用している複数の対象顧客の調査結果を集約した数値として、販売担当者の生産性が 15% 向上し、3 年間で 1,330 万ドルのコスト削減を達成しました⁴。

ニュージーランド最大手の 1 つである Westpac New Zealand 銀行は、Dynamics 365 への移行後、カスタマー エクスペリエンスとイノベーションの強化 (英語) に成功しました。プロセスの自動化により、Dynamics 365 を使用する数千人のユーザーの時間を 週 3,850 時間節約できました。また、Dynamics 365 への移行で組織全体のデータ品質が向上し、効率性も上がっています。

さらに、営業チームはミスを削減し、正確性の欠如やレポートの不備を引き起こす可能性がある CRM へのデータの手入力を減らすことができました。Microsoft Viva Sales (英語) では、顧客データを CRM に取り込む工程を自動化し、そのデータからインサイトを得て、その後の最適なアクションを把握することができます。

サプライ チェーン内では、AI が複雑なシステムを常時監視して、サプライ チェーン全体の問題を検出および予測し、サービスの中断を予防します。高品質コーヒーの焙煎や小売を手掛けている業界大手の Peet’s Coffee (英語) では、サプライ チェーン全体の可視性を向上させたことが成功につながっています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、販売は店舗からオンライン ストアへとすぐに移行しました。Peet’s Coffee のチームは Dynamics 365 Supply Chain Management を導入したことで、信頼性の高いリアルタイムのデータからインサイトを得られるようになりました。これにより、成長中の eコマース ビジネスのフィル レートを 98% に維持できました。

Forrester の調査によると、生産量の増加、ダウンタイムの減少、品質の向上、インフラストラクチャ コストの削減、開発者の生産性向上など、Dynamics 365 Supply Chain Management によりさまざまな領域で効果が出た (英語) ことが明らかになっています。たとえば、複数の対象顧客の調査結果を集約した数値として、3 年間で 1,100 万ドルのコスト削減を達成しました。また同じ 3 年間で、生産速度の向上により 2,430 万ドルを削減し、さらにビジネス クリティカルな生産設備のダウンタイムが減少して 150 万ドル以上の効果がありました⁵。

連携を強化し、ビジネス成果を拡大

仕事をする場所が分散化するにつれ、コラボレーションの文化を育むことが重視されると同時に、その育成が難しくもなります。最新のマイクロソフトの働き方に関する Work Trend Index 年間レポートでは、2020 年 2 月以降、Microsoft Teams の平均的なユーザーの 1 週間の会議時間は 252% 増加し、会議数は 153% 増加しました。

コラボレーション機能が Dynamics 365、Microsoft Power Platform、Microsoft 365 (Teams を含む) 全体のビジネス ワークフローとシームレスに統合されているため、あらゆる企業や顧客の記録上で、だれとでもより効果的に連携することができます。

営業チームは、マーケティング部門から需要創出に関するシグナルを得られるため、より短期間で契約を成立させることができます。複雑なサポート案件に対応しているサービス オペレーターは、AI によって選定されたエキスパートのリストを確認して、一緒に問題を「スウォーム」、つまり、複数で協力してトラブルシューティングを行い、解決するための手順を構築できます。

世界を代表するギター ブランドの Gibson は、Dynamics 365 と Teams を使用して、小売、直接販売、ディーラーのネットワークにわたる部門横断型のチームを編成 (英語) し、内部プロセスの簡素化と、よりイマーシブなカスタマー エクスペリエンスの作成に成功しました。

クラウド規模のイノベーションを一般化

最後に、Microsoft Power Platform を使用すれば、プロの開発者からシチズン デベロッパーまでだれもがデジタル ソリューションを作成して問題解決に貢献し、コスト削減と IT チームのソリューション開発の負担を軽減することができます。Forrester Consulting の調査 (英語) によると、Microsoft Power Platform のプレミアム機能を使用したお客様は 3 年間で 140% の ROI を達成しています⁶。

パンデミックの間、カナダのオタワ市 (英語) では、公衆衛生局である Ottawa Public Health (OPH) の Web サイトで Microsoft Power Virtual Agents をホストしてチャットボット ソリューションを展開し、市民への情報配信を合理化しました。このボットはわずか 6 か月間で 50,000 件以上の会話に利用され、コール センターの電話対応を 4,000 時間削減できたと推定されています。その結果、24 万カナダ ドルのコストが削減され、フルタイムの市職員 2.5 人を OPH のミッション クリティカルな業務に再配置することができました。

お客様の成功に向けた取り組み

移行の計画や投資の最適化、また、Dynamics 365 と Microsoft Power Platform を活用したイノベーションの方法を模索しているお客様は、マイクロソフトがお手伝いさせていただきます。

このブログ シリーズでは今後、カスタマー エクスペリエンス (営業、マーケティング)、サービス、財務、サプライ チェーンの 4 つの主要部門における合理化の可能性について詳しく説明していきます。

Dynamics 365 を活用して、少ないリソースで成果を高める

組織におけるコストと複雑さを軽減する方法をご確認ください。

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注釈

¹ Total Economic Impact of Migrating from Microsoft Dynamics AX to Microsoft Dynamics 365 in the Cloud (英語) (2020 年 7 月)、マイクロソフトが委託し Forrester Consulting が実施した調査。ここに記載されているのは、複数の対象顧客の 3 年間の調査結果を集約した数値です。ここで紹介した例は、さまざまなお客様の成果に基づくものであり、お客様独自のシナリオによって異なります。

² Salesforce とマイクロソフトの Web サイトで公開されている製品の米国価格に基づいて見積もられた削減額。マイクロソフトの内部調査、2022 年 9 月。

³ 公開されている Power BI および Power Apps の代表ユーザー ライセンス 250 名分の米国価格を主要な競合他社の製品と比較し、それに基づいて見積もられた削減額。

⁴ Total Economic Impact Of Microsoft Dynamics 365 Sales (英語) (2022 年 3 月)、マイクロソフトが委託し Forrester Consulting が実施した調査。ここに記載されているのは、複数の対象顧客の 3 年間の調査結果を集約した数値です。

⁵ Total Economic Impact of Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Management (英語) (2021 年 8 月)、マイクロソフトが委託し Forrester Consulting が実施した調査。ここに記載されているのは、複数の対象顧客の 3 年間の調査結果を集約した数値です。

⁶ Total Economic Impact of Microsoft Power Platform Premium Capabilities (英語) (2022 年 8 月)、マイクロソフトが委託し Forrester Consulting が実施した調査。ここに記載されているのは、複数の対象顧客の 3 年間の調査結果を集約した数値です。