(本投稿は米国時間2022年9月20日付のブログ投稿の日本語抄訳です。内容に齟齬がある場合、原文を正とさせていただきます。)
初開催となる Microsoft Power Platform Conference (英語) は、ご好評につきチケットが完売しました。これは、ローコード コミュニティの皆様が持つコラボレーションしたいという熱意がとても強いことを明確に表しています。本日発表する主な製品は、そうした皆様の期待に正面から応えるものです。チームでアプリを開発している方、社内に協力者を求めている方、Teams をさらに高度なコラボレーション環境に引き上げたいと考えている方にとって待望となる 3 つの新たなコラボレーション機能を発表します。
どのような機能か、まず簡単にご紹介しましょう (詳しくはこの後にご説明しています)。
Power Apps のカードは、Microsoft Teams および Outlook 内で直接ローコードを使用してマイクロアプリを設計し、配信することができるまったく新しい機能です。重要なマイクロエクスペリエンスが Teams 内に直接組み込まれているため、これまでにないほど簡単に会話やワークフローの共有を行うことができます。
また、Power Apps に共同編集機能が追加されます。これは、数百万人もの Office 365 ユーザーが使用しているのと同じリアルタイム コラボレーション機能です。複数の作成者が協力して 1 つのアプリを同時に構築、編集できるため、ソフトウェア開発が大きく進化します。
最後は、新しい統合型仮想オペレーターで利用できるようになる作成者マッチング機能です。作成者に必要な学習コンテンツを案内したり、組織内の経験豊富なアドバイザーを紹介したりといったサポートを行うものです。コンテキストに応じたサポートと社内コミュニティのつながりの強化により、ローコード ソリューション全体を成功に導きます。
Power Apps のカード
Power Apps のカードがローコードのラインナップに追加され、ビジネス ユーザーが開発者と同様に視覚的かつインタラクティブなデータ駆動型のカードを構築できるようになります。この埋め込み型のマイクロアプリは、Teams 内や Outlook のカスタマイズ可能なグラフィカル インターフェイスを通じて、他のユーザーと共有できます。
カードはローコードで作成できる軽量なマイクロアプリで、Teams に埋め込み可能
Power Apps のカードは、プロ開発者が広く使用しているアダプティブ カード フレームワーク (英語) を基盤としており、現在数百万のユーザーがこの事前構築済みのカードを利用して次のアクションにつなげています。この機能がローコード化されることで、軽量の埋め込み型エクスペリエンスの構築や配信を行えるユーザーが劇的に増えることになります。
ノーコード カード デザイナーですぐに作成を開始できる
ドラッグ アンド ドロップ形式のカード デザイナーでは、Power Apps とまったく同じ要素を使用できます。作成者は、ボタン、表、テキスト、画像、オプション、チェックボックス、入力フィールド、コンテナーといったさまざまなコンポーネントで構成されたカスタマイズ可能なカード UI を、コードを書くことなく作成できます。
データの追加とサービスへの接続
このカード デザイナーの Power Platform コネクタを使用すると、ユーザーは企業データとバックエンド サービスを安全に接続して、Teams でカードを見たときに関連するデータで満たされるようにすることができます。当然ながら Microsoft Dataverse とまったく同じ構造なので、強力な企業データ プラットフォームをバックエンドに持つ軽量なカードを容易に作成することが可能です。
カードではコネクタや Power Fx などの慣れ親しんだ Power Apps ツールをすべて使用可能
Power Fx でビジネス ロジックを追加
Excel を基盤とするオープンソース ローコード プログラミング言語の Power Fx をサポートしており、カードですばやくインライン演算を行ったり、動的な操作を行うことが可能です。Power Platform コネクタによるデータ操作などの複雑なロジックを作成し、カードのインタラクティブな UI 要素に接続することができます。
Teams でカードを送信
作成したカードは Teams のチャネル、チャット、会議に投稿できます。カードが紐付けられると完全にインタラクティブになり、データが送られ自動的にインラインでレンダリングされます。その一方で、企業データのセキュリティは組織内で完全に守られます。
カードは Teams で簡単に共有可能
カードは Power Apps 作成者向けにパブリック プレビューでロールアウトされており、皆様の地域でも間もなく提供が開始されます。Wave 1 では、Dataverse をバックエンドとして構築し、Teams で共有することを前提としています。今後数か月をかけて、Power Platform コネクタや新しい共有オプションをリリースしていく予定です。Power Apps のインタラクティブでアクションにつながる埋め込み型のこのカードが、皆様のお役に立つことを願っています。ぜひフィードバックをお寄せいただければ幸いです。カードの作成をお楽しみください。
Power Apps の共同編集
ソフトウェア開発はこれまでずっと、1 人の作業として行うものでした。コードをローカル ブランチにチェックアウトし、変更を個別に加え、メイン プロジェクトにマージし直すといったことを行います。これまではほとんどのローコード開発が、このように 1 つのコンポーネントにつき 1 人の作成者が扱うというパターンで行われてきました。
共同編集機能を使用すると、これが劇的に変わります。複数の作成者が同時に作業を行い、だれがアプリを扱っているか、他の作成者がアプリのどの部分の作業を行っているか、アプリがどのように変更されたかをリアルタイムで確認することができます。作成者は新しいページを追加し、そこで他の作業者の邪魔をすることなく、自分の作業を行うことができます。これにより、経験豊富なソフトウェア開発者でも、ローコード開発を始めたばかりのユーザーでも関係なく、コラボレーションと開発の効率を大幅に向上させることができます。
Power Apps の共同編集機能は Office 365 ドキュメントのものと同様のしくみ
Office 365 と同じように、だれがアプリで作業しているかを把握し、その相手と手軽にチャットできます。非同期のコミュニケーションとしてコメントにユーザーをタグ付けすることもできます。また、だれでもアプリを開き、お互いの変更操作をリアルタイムで確認できます。これまでとの違いは、1 人が画面を共有するのではなく、全員が同じバージョンのアプリを見ながら、他の作業者の作業を邪魔することなく、アプリのコンポーネントを追加、編集、削除できる点です。
私たちのもとには多くのお客様から、社内での新人育成のために共同編集機能がほしいという声が寄せられていました。共同編集機能があれば、ベテランの作成者がアプリを作成するところを経験の浅い作成者が見て参考にすることや、ベテランが用意したタスクを新人がこなしたりすることが簡単にできます。新人の開発者が加わった場合やマーケティング担当者が社内アプリの作成方法を習得したい場合などに、1 つの環境内でプロジェクトを開始し、指導することができます。
共同編集機能は、モダン アプリ デザイナーを使用する作成者向けにロールアウトされています。
Power Apps の統合型仮想オペレーターによる作成者のマッチング
学習中の作成者や開発段階の作成者を支援する機能として、Power Apps の学習コンテンツや組織独自の内部リソースを作成者に案内する統合型仮想オペレーターを Power Apps に導入しました。このボットはただのボットではなく、製品開発にかかわっている組織内のより経験豊富な人材をその作成者とマッチングさせるという特徴があります。この作成者マッチング機能により、開発中の新人作成者とアドバイスできる人とをつなぎ、身近な人から助けを得られるようにすることで、より質の高いアプリをすばやく開発できるようになります。この仮想オペレーターは社内のコミュニティ チャネルやリソースを周知することも可能で、作成者の開発作業やコミュニティとのつながりの維持を助けます。
作成者マッチング機能では、作成者にコンテキストに応じた支援を提供したり、組織内の優秀な作業者がアドバイスできるようにすることが可能
経験豊富な作成者は、アドバイザー プログラムにアドバイザーとして登録することができます。それには 2 つの方法があります。1 つは、管理者がアドバイザーとして指定すること、もう 1 つは、インテリジェント マッチングを通じて、強力なトラック レコードを持つ優秀な作成者が製品内で自動的に招待状を受け取るというパターンです。アドバイザーに任命されると Power Apps からアドバイザー プログラムにオプトインするように促され、そこから組織内の新人作成者をサポートできるようになります。
仮想オペレーターの作成者マッチング機能は、近日中にパブリック プレビューが開始されます。
次のステップ
今回ご紹介した機能はすべて無料でお試しいただけます。アプリを開発する場合は無料の Developer プランにサインアップしてください。また、他のユーザーが作成したアプリを使用してみたい場合は、無料試用版にサインアップしてください。
プレミアム コネクタや Dataverse を活用したい場合は、有料プランをご検討ください。
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