(本投稿は米国時間2022年5月24日付のブログ投稿の日本語抄訳です。内容に齟齬がある場合、原文を正とさせていただきます。)
Microsoft Power Platform のようなローコード/ノーコード プラットフォームは気軽に学び始められ、比較的早く習得できることから、アプリやソフトウェア開発の世界に新たなユーザーを呼び込み、これまでの常識を変貌させつつあります。既成のテンプレートの活用やドラッグ アンド ドロップによるシンプルな操作、導入の迅速性といった特長を併せ持つ Microsoft Power Platform は、今やあらゆる専門分野のユーザー (IT チーム、ビジネス アナリスト、シチズン デベロッパーなど) に受け入れられ、新しいものを生み出そうという意欲や創造性の向上を後押ししています。
こうしたプラットフォームの活用が進み、新たな可能性を見出せるようになればなるほど、ユーザーの満足感は増していきます。このユーザー フレンドリなプラットフォームは、従来とは異なり、ソフトウェアの知識がない人でもスキルが向上していることを実感しやすいのが利点です。それがユーザーの自信へとつながり、チームの成功に貢献しているという充実感をもたらすようになります。マイクロソフトが最近実施した調査によると、ローコード/ノーコード プラットフォームの利用者の 82% が、こうしたテクノロジは開発の知識や技術スキルの習熟の機会をソフトウェア ユーザーに提供するのに役立つと認めています。それだけではありません。ローコード/ノーコードのプラットフォームやアプリを使用することで、仕事に対するユーザーの満足度や作業量にプラスの影響があったと認めた回答者は 83% に上り、80% の回答者が、ユーザーの士気の向上に好影響を与えたと答えました。
「(ローコード/ノーコード プラットフォームは、) 会社から期待されている以上の仕事をしたという自信を与えてくれます」 — 小売業界のユーザー
スキルアップの機会の提供で従業員の意欲が向上
ローコード/ノーコード プラットフォームのスキルの習得は、今日の従業員が特に求めている能力開発の 1 つです。その証拠に、ローコード/ノーコード プラットフォームのユーザーおよび潜在的ユーザーの 80% が、従業員の技術面のスキルアップに力を入れている会社ほど働く意欲がわくと答えています。
ソフトウェア開発やプログラミングのスキル向上を目指すユーザーが増えるのに伴い、ローコード/ノーコード プラットフォームのトレーニングを実施している企業では、従業員の参加率が高まっています。たとえば、ローコード/ノーコード プラットフォームのユーザーは潜在的ユーザーと比較して、自身の組織内で与えられた関連トレーニングの機会を利用した人の割合が高いことがわかっています (78% 対 41%)。また、自身の組織が組織全体の目標として技術面のスキルアップに投資していることについて、これらのユーザー (63%) は潜在的ユーザー (36%) よりも好意的に受け止めています。
Microsoft Power Platform のようなテクノロジの活用は、多くのビジネス リーダーにとって全社的なスキルアップの意欲の底上げにつながり、従業員の維持率の向上と能力開発に役立ちます。こうしたメリットは、ビジネス意思決定者 (BDM) が抱える主な懸念事項を直接解決することにもつながります。つまり、イノベーションの促進により、優秀な人材を惹き付け、それを長く維持する効果を期待できます。
従業員の維持率を高めるための取り組み
従業員の能力開発への投資は、企業にとって喫緊の課題です。なぜなら、71% もの潜在的ユーザーが、従業員の技術スキル開発に投資をしていない会社で、今後も働き続けるかどうかはわからないと回答しているからです。企業の経営陣と BDM は従業員に提供する能力開発の機会を厳密に評価し、IT チームやビジネス アナリストを始めとするあらゆるタイプの開発者を支援できる方法を見極める必要があります。従業員に有意義な能力開発の機会と明確なスキルアップの道筋を示したいとお考えなら、ぜひローコード/ノーコード開発プラットフォームの検討をお勧めします。
テクノロジ業界のジェンダー問題への対応
ローコード/ノーコード プラットフォームの導入は、IT 業界の男女比格差の解決にも役立つ可能性があります。現在、クラウド コンピューティングの専門職に就く人材のうち、女性の割合は 20% 未満となっています。先ほど述べたスキル ギャップの解消に加えて、性別多様性に力を入れている企業は業績を伸ばしており1、ジェンダー平等性を推進することで、2030 年の世界の GDP は 13 兆ドルになると予想されています2。
一方、この業界の女性は男性と比べ、自分は最先端の技術スキルを備えていないと感じる傾向にあります。それだけでなく、調査の結果、自身のキャリアアップに役立つ新しいテクノロジの購入やテストについて制約があると答えた女性は、男性の 4 倍に上りました。Microsoft Power Platform への投資はこうした女性のキャリア開発を今すぐに後押しし、組織内でのジェンダー平等性を推し進める 1 つの方法と考えられます。
BDM は認知不足が投資の妨げになることを懸念
ここまで、ローコード/ノーコード プラットフォームは企業文化に多大な影響を及ぼす可能性があることを説明してきました。それではなぜ、こうしたプラットフォームの導入はそれほど進んでいないのでしょうか。BDM とユーザーの大多数 (それぞれ 71% と 76%) がその理由として挙げたのは、Microsoft Power Platform を始めとするプログラムにどのようなユース ケースがあるかがよく知られていないということです。また、サイバーセキュリティ上の懸念や、こうしたプラットフォームやアプリの価値を最大限に引き出すために必要となるコストや従業員のトレーニングといったものが、理由として多く挙げられました。ビジネス上のあらゆる投資で言えることですが、経営陣は有意義なリターンが確実に得られるかどうかを重視します。新しい開発プラットフォームの導入を選択すれば、組織全体の人員とプロセスに影響を及ぼし、組織の再編を正式に検討しなければならなくなるでしょう。
いったん導入してしまえば、その効果によってローコード/ノーコード プラットフォームの利点はすぐに伝わり、イノベーションの循環が始まりますが、最大の関門は初期投資の予算を確保できるかどうかにあります。組織の意思決定プロセスをいかにうまく通過するかが、BDM の手腕の見せ所です。BDM はユーザーとの仲介役として必要となる証拠を示し、全社的な投資の妥当性を訴えるという重大な責任を負います。社内文化的な利点とユーザーの成功事例の両方を明らかにし、魅力的な導入シナリオを経営陣に示せるのは BDM しかいません。
インパクトのあるユース ケースを見極めるには BDM とユーザーの協力が不可欠
さらに、BDM の皆様には、どのような価値が期待できるかを確認するために、開発者およびローコード/ノーコード利用者と協力し、Microsoft Power Platform の新しいユース ケースを検討することをお勧めします。Microsoft Build (2022 年 5 月 24 ~ 26 日開催) のようなイベントは、同じ立場の BDM や専門家、さまざまな他業界のユーザーと知り合い、成功事例を共有して、ローコード/ノーコード プラットフォームへの魅力的な投資シナリオについて語ることができる絶好の機会です。Microsoft Build では各種ライブ プログラムとイマーシブなエクスペリエンスを通じて、信頼できる統合データ プラットフォームを実現するための最新のテクノロジとツールについてさまざまな角度から紹介します。
多くの従業員は、職位に関係なく、自分の時間を捧げる価値のある会社を探しています。職務への献身的な姿勢は従業員が満足していることの証明であり、職場全体で健全な文化が育まれていることを示す良い兆候です。Microsoft Power Platform を始めとするローコード/ノーコード プラットフォームによる能力開発の機会を提供することで、BDM はロイヤルティが高く、創造力に富んだ、インクルーシブな人材の育成を促進できるようになります。
調査方法と対象者の定義:
「ローコード プラットフォームが生産性に与える影響度のトレンド指標調査」は独立系調査会社の Edelman Data x Intelligence によって実施されました。対象者の内訳は、ローコード/ノーコードのプラットフォームやアプリのユーザー 322 人、ローコード/ノーコード プラットフォームの潜在的ユーザー 300 人、ローコード/ノーコード プラットフォームのスキルを持つ人材の雇用を検討しているビジネス意思決定者 150 人、および既に組織全体でローコード/ノーコードのプラットフォームやアプリを使用しているビジネス意思決定者 150 人です。この調査の所要時間は 15 分で、2021 年 4 月 6 日から 2021 年 4 月 25 日にかけて、英語を使用してオンラインで実施されました。
本レポート内で言及された参加者の定義は次のとおりです。
- ユーザー: 調査参加者を募る際、「ローコード/ノーコードのプラットフォームやアプリについてよく知っており、仕事上または個人で既に使用している」と答えた参加者。以下で構成されます。
- プロフェッショナル ユーザー: 現時点でローコード/ノーコードのプラットフォームやアプリを仕事で使用しているユーザー。IT 担当者、コンピューター エンジニアや開発者のほか、マーケティング、広報、人事といった部門の担当者を含みます。
- シチズン デベロッパー: 現時点でローコード/ノーコードのプラットフォームやアプリを個人あるいはサイド ビジネスなどで使用しているユーザー
- 潜在的ユーザー: 調査参加者を募る際、「ローコード/ノーコードのプラットフォームやアプリについてよく知っており、仕事上または個人ではまだ使用していないが、今後 12 か月以内に利用を始めたいと考えている」と答えた参加者
- ビジネス面の意思決定者: 調査参加者を募る際、「中~上級の役職者 (SVP、VP、シニア ディレクター、ゼネラル マネージャー、最高責任者レベルの経営幹部、社長など) で、人員の採用、予算の割り当て、従業員の福利厚生、社内広報、経営などに関する意思決定に、少なくとも一定の影響力を持つ」と答えた参加者
出典:
1 - 「The Business Benefits of Gender Diversity」、Gallup (英語)
2 - 「COVID-19 and gender equality: Countering the regressive effects」、McKinsey & Company (英語)
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