Microsoft Ignite 2022: ローコードの活用で業務効率化を実現
(本投稿は米国時間2022年10月12日付のブログ投稿の日本語抄訳です。内容に齟齬がある場合、原文を正とさせていただきます。)
Microsoft Ignite 2022 にご参加いただき、ありがとうございます。Microsoft Power Platform では、安全なローコード導入の拡大、組織規模のコラボレーション、ビジネス プロセス全体への AI や自動化の導入などがさらに容易になり、手間をかけずにより多くのことを実現できます。
近年、最高情報責任者 (CIO)、IT 部門、IT プロフェッショナルの業務範囲は大幅に拡大しており、技術的な問題をすばやく解決して増大する需要に対応することが重要になっています。効率化の実現に向けて、手間をかけずにすばやくエンタープライズ クラスのソリューションを提供するテクノロジが求められています。
あらゆる立場のユーザーに対応できるよう、以下の新機能を Microsoft Ignite で発表 (英語) します。
- Managed Environments の一般提供: Managed Environments は、設定なしですぐに使用できる強力なガバナンス機能セットです。Microsoft Power Platform での大規模な IT 管理の簡素化、自動化、合理化を支援します。
- ALM パイプラインの自動化: Microsoft Power Platform に組み込まれているアプリケーション ライフサイクル管理機能を使用すると、手間をかけずにソリューションのセキュリティやガバナンスを改善できます。
- Power Apps での共同編集: モダン アプリ デザイナーでは、複数の作成者によるリアルタイムの共同編集が可能なため、協力して迅速に開発を進められます。
- Power Pages の一般提供: この最新の Microsoft Power Platform 製品を使用すると、モダンでセキュアなレスポンシブ デザインのビジネス Web サイトを作成できます。一般提供を開始するにあたり、従量課金制とキャパシティ ベースのサブスクリプションを選択できます。
- インタラクティブな Power BI チャートを OneDrive や SharePoint で直接共有: OneDrive や SharePoint でレポートを直接共有、操作できるようになります。
- クロステナントでのデータセット共有: クロステナント データセット共有機能により、外部組織との間でセキュリティを確保しつつすばやく手軽にデータセットを共有できます。
- 進化した AI Builder: ドキュメント処理の精度が向上し、対象のドキュメントの種類を追加します。
- Power Automate Copilot が自然言語をクラウド フローに変換: 自動化したいことを文章で記述すると、わずか数秒で AI がフローを構築します。
- Power Automate がサンプルを参照してデータを再形成: Power Automate が AI を使用してサンプルを参照しつつデータをわかりやすい形に再形成します。
ローコードを安全に拡張
2022 年前半に、Microsoft Power Platform で Managed Environments (英語) のプレビューを開始しました。これは設定なしですぐに使用できる強力なガバナンス機能セットで、Microsoft Power Platform での大規模な IT 管理の簡素化、自動化、合理化を支援します。このたび一般提供を開始します。
ALM パイプラインの自動化
Microsoft Ignite 2022 で、Managed Environments へのアプリケーション ライフサイクル管理 (ALM) パイプライン自動化の追加を発表します。
Managed Environments に ALM 機能を組み込むことで、ソリューション展開の複雑性を解消します。これにより、自動化された安全なパイプラインを通じて、ソリューションを別環境へ手軽に移動できるようになります。
パイプラインは作成者が直観的に使えるように設計されており、可視性に優れ、IT 部門に提出する監査証跡にも完全に対応します。このため、アプリの設計、および開発環境から実運用環境への展開を行った時期や場所を IT 担当者が把握できます。
これにより、IT 部門は時間、コスト、リソースを節約し、ローコードの手法の実装や拡張を迅速化できます。
2022 年 12 月にはこの機能のプレビューを開始する予定です。
詳しくは Managed Environments の発表 (英語) をご覧ください。
開発効率の向上
ローコード資産のセキュリティを確保し、組織のニーズに合わせてスケーリングできるようになったら、全社的にローコード資産をロールアウトする準備は完了です。全社的な開発効率を改善するため、リアルタイム共同編集機能と Power Pages の一般提供を開始します。
Power Apps での共同編集
リアルタイム共同編集機能を使用すると、Power Apps でさらに手軽に開発できるようになります。
この機能では、複数の作成者がモダン アプリ デザイナーで同じアプリやページを開いて同時に作業できます。作業を分割してチーム内で分担できるため、より迅速にアプリを完成できるようになります。Microsoft 365 の共同編集と同じく、他のユーザーの変更がリアルタイムで反映されます。
Power Apps の共同編集機能のプレビュー (英語)。
Microsoft Power Pages の一般提供、簡素化されたライセンス体系
2022 年 5 月、Microsoft Power Platform で、スタンドアロン製品としての Power Pages (英語) のプレビューを発表しました。このたび、Power Pages の一般提供を開始します。
カスタマイズされた精巧な企業 Web サイトの需要が急増しており、IT 部門や開発者がすべての Web ページを 1 つずつカスタム コードを書いて作成するのは困難になっています。
Power Pages では、市民開発者でもプロの開発者のように、拡張性が高く安全なビジネス向け Web サイトをローコードで手早く作成できます。
ライセンス管理に気を取られず Web サイトの開発に集中できるように、Power Pages のビジネス モデルが整理され、キャパシティ ベースのサブスクリプションや従量課金制に移行しました。
Power Pages のライセンス料金は、認証済みユーザーであるか匿名ユーザーであるかにかかわらず、Web サイトごとに月単位で発生します。また、Power Pages で内部ユーザーと外部の認証済みユーザーの区別がなくなりました。
この変更により、自社 Web サイトに適切なライセンス オプションを選びやすくなりました。
詳細については Power Pages と新しいライセンス体系 (英語) をご覧ください。
データ共有の促進により、インサイトをすばやくアクションに変換
IT 部門の手間を減らしてより多くの成果を得るために、インサイトを可能な限りすばやくアクションに変換する必要があります。そこで、Power BI と Microsoft 365 の統合を強化し、IT 部門が異なるテナントのデータを迅速かつ簡単に共有できるようにします。
インタラクティブな Power BI チャートを OneDrive や SharePoint で直接共有
このたび、OneDrive および SharePoint を介した Power BI と Microsoft 365 の統合をさらに強化しました。ほぼすべての Microsoft 365 ユーザーは、OneDrive と SharePoint 上でドキュメントやファイルを共有、表示、検索していますが、これに新たに Power BI レポートが加わります。この統合により、Power BI レポートのファイルを OneDrive や SharePoint のエクスペリエンスから、直接検索、操作できます。
Power BI レポートの共有が簡単なだけでなく、ワークフローが簡素化され、OneDrive や SharePoint からレポートを直接開いて分析できるため、さらにすばやくインサイトをアクションに変換できます。
この機能はプライベート プレビューで提供します。
クロステナントでのデータセット共有
クロステナント データセット共有機能により、ビジネス パートナー、顧客、ベンダーなどの外部組織と、安全かつ手軽にデータセットを共有できます。データセットを外部ユーザーと共有するときは、外部ユーザーのテナントからアクセスし、共有データセットと自社テナントのデータが共存するモデルを構築し、そのモデルに基づいてレポートを作成して共有できます。
アクセス可能な外部データセットはすべて Power BI Desktop に表示され、1 か所で簡単に検索できます。Power BI を使用すると、クロステナントでのデータ共有と併せて、外部テナントにゲスト ユーザーとしてアクセスし、そこと共有しているレポート、ダッシュボード、ワークプレースを簡単に見つけることができます。外部組織のホーム ページにアクセスすると、共有中のコンテンツがすべて [External data] タブに表示されます。
以上 2 つが、Power BI のお勧めの機能です。Microsoft Ignite での Power BI 関連の発表は、エンタープライズ向けセルフサービス型ビジネス インテリジェンスでより多くの成果を実現 (英語) というブログ記事にまとめました。すばやいデータ活用のための新機能をすべて紹介していますので、こちらも併せてお読みください。
AI をあらゆるビジネス プロセスに導入
AI や自動化を実装することで、反復作業に要する時間、予算、労力を節約し、他の戦略的な業務に集中できるようになります。Microsoft Power Platform なら、自動化の全社的な拡張も可能です。
このたび、AI と自動化に関する Microsoft Power Platform の機能を複数更新します。まずは AI Builder のドキュメント処理の機能更新について紹介します。
AI Builder のドキュメント処理機能を更新
ドキュメント ベースのビジネス プロセスは反復的な作業が多く、時間がかかるため、ドキュメント処理に AI Builder 機能がよく使われます。今回は、フィードバック ループの組み込み、非構造化ドキュメントの一般提供開始、サポート言語の追加、複数ページにまたがる表の抽出という 4 つの主要機能を更新します。
これにより、機能の精度が向上し、サポート対象のドキュメントも拡張されるため、ドキュメント処理時間を短縮できます。
詳細については AI Builder の更新 (英語) の記事をご覧ください。
Power Automate が説明文をクラウド フローに変換
優れた GitHub Copilot 機能に基づき、Microsoft Power の Platform Power Automate で同様の説明文をクラウド フローに変換できるようになりました。自動化したいことを文章で記述すると、AI がわずか数秒でフローを構築します。説明分から Power Automate が必要なクラウド フローを生成するため、検索や試行錯誤を繰り返す必要がなくなります。この機能により、すべてのユーザーがスムーズに自動化を利用できるようになります。
Power Automate がサンプルを参照してデータを整形
ワークフローの自動化において手間がかかるのが、データを活用するための条件式を書く作業です。Power Automate は、AI がサンプルを参照しつつデータをわかりやすい形に再形成して、このプロセスを簡素化します。
この機能を使用するには、Power Automate クラウド フロー デザイナーで任意の操作を選択し、新たに導入された [format data by examples] というオプションを指定します。生成したい書式のサンプルをデザイナーで指定すると、Power Automate が式を自動生成します。
Power Automate の詳細については、こちら (英語) をご覧ください。
次のステップ
Microsoft Power Platform の Managed Environments、および AI ベースの新しい補助機能 (英語) を、Microsoft Mechanics にて紹介しています。
以下の機能については、Microsoft Power Platform のブレークアウト セッションで詳細をご覧いただけます。
- Microsoft Intelligent Data Platform により、迅速なイノベーションを実現し、より高い俊敏性を実現する
- スケールアップした NLP で新しいカスタマー エクスペリエンスを実現する
- Power Automate を使用してクラウドでハイパーオートメーションを拡張する
- AI Builder によりドキュメント プロセスを自動化する
- ローコードからプロコードへ: 進化する職場を強化するコラボレーション アプリの構築と購入
- Power Pages: ローコード Web 開発
- 組織内のローコード ガバナンスの合理化
ローコードの導入によってコストを大きく削減することが、かつてなく容易になりました。Forrester Total Economic Impact の調査によると、Power Apps を開発に利用することで、アプリケーション開発コストを平均 74% 削減できます1。また、すべてのチャネルにおいて、最初の 1 年間、新規商用ユーザーには有人 RPA を含む Power Apps per user ライセンスと Power Automate per user ライセンスを 25% 引きで提供します。
さらに、ロボティック プロセス オートメーション (RPA) テクノロジを活用すると、驚異的な効率改善やコスト削減が可能になるため、ホスト型の無人 RPA ボットの一般提供を 2023 年の早い時期に開始し、さらに利用を促進していきます。このほか、既に RPA インフラストラクチャをご利用のお客様には、このエコシステムに戦略的パートナーを組み込み、RPA を最新技術の Power Automate へと移行させる作業を加速させてさらなるコスト削減を実現します。
ホスト型 RPA ボットでは、ハードウェアを新たに調達してセットアップすることなく、無人型の自動化機能を大規模に実行できます。一般提供開始後は、ユーザーごとのプリペイド式プランと従量課金オプションをお選びいただけるようになります。
ご不明な点がありましたら、お気軽にマイクロソフトの担当者までお問い合わせください。
1Forrester (英語) の調査。
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