Dynamics 365 でグローバル オペレーションの複雑さを軽減
(本投稿は米国時間2021年4月29日付のブログ投稿の日本語抄訳です。内容に齟齬がある場合、原文を正とさせていただきます。)
世界には 195 もの国が存在しますが、世界はときに狭く感じられることがあります。それは、私たちが今日、地球の裏側に住んでいる人々ともすぐさまコミュニケーションを取ることができるからでしょう。コマースのデジタル化によって、私たちは世界中からほしい商品を迅速に購入できるようになりました。また、ビデオ会議を行えば、余計な出張費をかけずに世界中からサービスを購入することも可能です。消費者としては、Web の普及により、企業との取引方法や取引場所に求めることが大きく変化しました。グローバル展開というと、これまでは、ローカル市場でサービス提供を行うための複雑な要件に対応できるリソースを持つ巨大多国籍企業が行うものでしたが、インターネットの普及により、グローバル化は企業の規模にかかわらず必須のものとなりました。
グローバル展開を行うことには、リーチの拡大、新規サプライヤーの獲得、収益源の増加といったいくつもの戦略的メリットがありますが、その一方で、複雑な要件が膨大に発生することになります。海外市場のオンライン競争に挑戦したり、新たな国でオフィスを開設したりしてみると、世界がいかに広いものかということに気づかされます。言語、通貨、日付形式、タイム ゾーン、規制、法律、税金、銀行取引の要件、文化など、あらゆるものが異なるため、ビジネス チャンスを掴むには、効果的なグローバル オペレーションを実現し、適切な対応戦略を持つことが必要になります。Microsoft Dynamics 365 Finance およびグローバリゼーション関連の新機能については、製品の更新ページをご確認ください。
グローバル オペレーションをシンプルに
マイクロソフトは、企業のお客様による複雑なグローバル オペレーションの管理、効率的なグローバル展開、世界各地での効果的な事業運営を支援しています。マイクロソフトのオペレーション アプリには、43 の国と地域を対象としたローカライズと規制のサポートが組み込まれており、48 の言語に翻訳されています。また、追加のローカライズ ソリューションが世界中のパートナー各社から提供されています (50 以上のローカライズ拡張機能を Microsoft AppSource で公開中)。そして、このたびの 2021 年リリース ウェーブ 1 では、企業のグローバル オペレーション管理をさらに支援するために、グローバル展開のサポート、新しい電子請求書サービス、税額計算サービスの提供を開始します。
標準のローカライズ サポートの拡張でグローバル リーチを拡大
2020 年 10 月に、新たに 5 つの国と地域にサポートを拡大しましたが、この 5 月には、さらにエジプトのサポートを追加します。今後も需要と市場機会を見きわめながら、規制要件と言語をターゲットに各国のローカライズのサポートを広げていく予定です。
電子請求書でペーパーレス化を実現
現在、多くの国の政府機関が電子請求書の利用の義務化によって、税金詐欺を削減し、請求プロセスを迅速化させています。企業においても電子請求書への移行が進んでおり、それによってコストやデータの手入力を削減し、トレーサビリティを改善して、全体的な処理時間を短縮させています。
また、電子請求書を利用すると、変化の頻度が高い規制環境に対して、システムやプロセスを速やかに適応させることができるというメリットもあります。政府機関は、税務をデジタル化し脱税や税金詐欺を最小限に抑える手段として、電子請求書の義務化を進めており、購入者と販売者に対して、取引の発生時に税務当局への請求書の電子登録を行うことを義務付けています。企業にとって電子請求書を導入することは、新規市場に参入する場合でも、ソフトウェアを進化させ新たな政府規制に対応する場合でも、大きなメリットとなります。
最新の電子請求書サービスは、Dynamics 365 Finance、Dynamics 365 Supply Chain Management、Dynamics 365 Project Operations でロールアウトされる予定で、他のアプリケーションではその後のリリースで提供される予定です。この新しいマルチテナント サービスは非常にスケーラブルで、フォーマットの構成、電子請求書ドキュメントの処理、ドキュメント交換の構成を行うことができます。この新サービスで実現されるメリットは以下のとおりです。
・さまざまな地域の電子請求書の処理と交換について、一貫したエクスペリエンスを利用できます。
・企業間取引や企業対政府間取引において、現地で義務付けられているフォーマットの電子請求書を迅速かつコスト効率よく構成、交換できます。
・電子請求書ドキュメントの構成と交換によって、ペーパーレス化、プロセスの高速化、トレーサビリティの向上を実現し、請求書を迅速に送付できます。
・さまざまな国や地域における最新の電子請求書基準への準拠が容易になります。
Dynamics 365 ビジネス アプリケーションの機能を拡張する電子請求書の詳細については、こちらの記事 (英語) または電子請求の概要をご覧ください。
税額計算のコンプライアンスを向上
グローバル企業では、税務のデジタル化に加えて、VAT (付加価値税) や GST (物品サービス税) といった間接税法の絶え間ない発生によって、既存のプロセスがどんどん複雑になるという問題を抱えています。これによって、どのグローバル企業のリーダーも、新たな業界に進出するリスクやコンプライアンス上のリスクに直面することになります。
税額計算サービスを利用すると、現地の関連規制へのコンプライアンスを向上させることができます。この構成可能な新しいマイクロサービス (プレビュー) は、Dynamics 365 Finance および Dynamics 365 Supply Chain Management の税額決定機能と計算機能を強化するものです。この機能は完全に統合されており、標準で提供されます。以下のことが可能になります。
・複数の国や地域の税額の決定と計算を自動化および標準化できます。
・構成可能な税額決定マトリックスと柔軟な計算デザイナーを活用し、数式と条件によって複雑な税額決定ルールや計算を構成し、実行できます。
・地方税法のコンプライアンス維持が容易になります。
税額計算機能の詳細については、税の計算の概要をご覧ください。
グローバル要件およびローカル要件の変化に対応
こうした電子請求書や税額計算の要件に加えて、多国籍企業は他にも税務報告や銀行取引などでその国や地域が定める法律やビジネス ルール (ビジネス文書のフォーマットなど) に対応する必要があります。その要件は、法的に義務付けられているものもあれば、現地のビジネス プラクティスに基づいて採用されているものもあります。法的要件は税務当局によって頻繁に変更されるため、執行日までに時間の猶予がないケースも多々あります。Dynamics 365 オペレーション アプリの既存の構成可能な電子申告機能やビジネス ドキュメント管理機能を使用すると、企業はこうした要件にグローバルに対応しやすくなります。また、インバウンド取引とアウトバウンド取引のいずれのドキュメントも報告テンプレートもノーコードやローコードで構成できるため、ユーザーは業界標準のデータ モデルに基づいてそれらをカスタマイズし、法的要件や地域固有の要件の変化にすばやく対応することができます。
カスタム構成を簡単にサポート
2021 年リリース ウェーブ 1 では、構成の作成とライフサイクル管理を支援する Regulatory Configuration Service (RCS) も強化されています。RCS はノーコード/ローコードのサービスであり、今回、電子申告の作成とライフサイクル管理の機能が以下のように拡張されました。
・新しい電子請求書および税額計算マイクロサービス用のカスタム構成を作成できます。
・マルチコンポーネントのグローバリゼーション機能の構成、設定、管理がよりシンプルになりました。
・カスタム構成をグローバル リポジトリで公開、保存、共有できます。これにより、Microsoft Dynamics Lifecycle Services (LCS) を使用することなく容易に構成管理を行えます。
グローバルなオペレーションと展開の管理を効率化
Dynamics 365 オペレーション アプリで標準のローカライズのサポートとノーコード/ローコードのグローバリゼーション サービスが拡張されたことで、企業ではグローバルなオペレーションと展開上の課題をより効果的に管理できるようになりました。こうした柔軟性の向上により、異なる市場のいくつもの固有のニーズに、より迅速に、大規模に対応できるようになりました。お客様とパートナー様は、これらのサービスと機能を利用して標準機能を拡張し、既に 100 以上の国と地域に対応する数千種類の構成を作成しています。
Dynamics 365 Finance とグローバリゼーションの新機能の詳細については、製品の更新ページをご覧ください。
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