低リスクのロー コード オプション: Power Apps の従量課金プランを発表 (パブリック プレビュー)
(本投稿は米国時間2021年11月2日付のブログ投稿の日本語抄訳です。内容に齟齬がある場合、原文を正とさせていただきます。)
マイクロソフトは、Power Apps および関連する Power Platform サービス向けのより柔軟な支払方法を導入することを発表しました。本日よりプレビューが開始され、Power Apps と Dataverse の料金を実際の使用量に基づいて Azure サブスクリプションでお支払いいただけるようになります。
これまでロー コード プラットフォームでは、事前にライセンスをご購入いただく必要がありましたが、それが開発者、製造業者、IT プロフェッショナル間の調達プロセスの交渉を長引かせる要因の 1 つとなっていました。ユーザー ベースのライセンスには拡張性と予測可能性という大きなメリットがありますが、シナリオによっては使用量ベースのモデルの俊敏性を要する場合が出てきました。Power Platform は Microsoft 365 と Azure の両方と深い関係のあることから、独自の方法で両オプションを提供することになりました。
この新しい従量課金プランでは、使用した分の料金だけを支払うため柔軟性が高く、ロー コードの使用を低リスクで開始し、その後ソリューションの使用パターンを把握してから、必要に応じて投資を拡大していくことができます。
Azure サービスを使用して Power Apps を構築する開発者に最適
Power Apps の従量課金オプションは、既に Azure サブスクリプションを使用してご自身のアプリケーションに必要なクラウド サービスの料金をお支払いいただいている開発者に最適なソリューションです。ここでは、Dataverse、および Azure でホストされる API 群を活用した Power Apps モバイル アプリを作成する場合について考えてみましょう。これまでは、Power Apps ライセンスをマイクロソフトやパートナーから購入し、ライセンスを割り当ててからアプリを展開する必要がありました。加えて、Azure サービスを使用する分の料金は Azure サブスクリプションで支払う必要がありました。新しい Power Apps 従量課金プランを活用すると、Azure サービスの支払いに使用している同じ Azure サブスクリプションで、Power Apps の料金も支払うことができます。
事前に把握できる
アプリを作成する際、そのアプリをどれだけのユーザーが使用することになるかを予測するのは通常難しく、必要なライセンス数を事前に予想することも困難です。このため、今後は従量課金オプションで使用パターンを把握したうえで、プリペイド式の Power Apps サブスクリプション プランを購入するかどうかを判断するのがお勧めです。
ユーザーがアプリを使用した分のみを支払う
たとえば、社内の多くのユーザーと共有するアプリ (または一連のアプリ) を作成したものの、実際は一部のユーザーが時々使用するだけになる可能性もあります。その場合、アプリを共有するすべてのユーザー分のプリペイド式 Power Apps サブスクリプション プランを購入するよりも、Power Apps の従量課金プランを利用するほうが経済的です。
組織全体でコストを共有
多くの企業では、ソフトウェア ライセンスの料金は、ライセンスを使用した部署やチームが負担します。Power Apps の従量課金プランでは、チームや部署が自身の予算に紐付けられた Azure サブスクリプションで Power Apps の料金を支払うことができます。また、Azure Cost Management と Azure タグを使用してコストを可視化し、コストを分割 (英語) することもできます。
プランのしくみ
Power Apps の従量課金プランは、アプリが含まれる環境を Azure サブスクリプションと紐付けるだけで使用できるというメリットがあります。その環境内で Power Apps や Dataverse が使用されると、新しい Azure メーターでカウントされ、紐付けられたサブスクリプションに課金されます。
- Power Apps per app 従量課金メーター: ユーザーがアプリを実行した場合にのみ料金が発生するため、柔軟にご利用いただけます。一方、既存の Power Apps per app サブスクリプション プランは、事前にライセンスを購入し、アプリを共有する前にその環境に割り当てる必要があります。また、このライセンスはユーザーがアプリを実行したかどうかにかかわらず、アプリがユーザーに共有された時点で消費されます。
- Dataverse 従量課金メーター: アプリによって使用された Dataverse ストレージ分が課金されます。Dataverse のデータベース ストレージ、ファイル ストレージ、ログ ストレージ用に個別のメーターがあります。Azure に紐付けられた環境には、データベース ストレージ 1GB とログ ストレージ 1GB が含まれます。
- Power Platform 要求メーター: 先日、ほぼすべてのお客様やシナリオのニーズに対応できるように、Power Platform ライセンスの Power Platform 要求 (旧称 API 呼び出し) 制限を引き上げました。この制限を上回るきわめて大規模なシナリオに対応する必要があるお客様は、標準の Power Platform 要求の制限数の超過分について Power Platform 要求メーターを利用できます。
詳細情報、価格、各メーターのしくみを示した例は、こちらのドキュメント (英語) を参照してください。
Power Apps で従量課金をセットアップする
従量課金は、Power Apps または Power Platform 管理センターからセットアップできます。
使用を開始するには以下を行う必要があります。
- サブスクリプション内でリソースの新規作成とリソース プロバイダーの登録を行うことが許可された Azure サブスクリプションへのアクセス。通常は、サブスクリプションの「Owner」または「Contributor」ロールのユーザーがこのアクセス許可を持ちます。使用を開始する前に、Power Platform リソース プロバイダー (英語) を登録して、Power Platform 従量課金プランを使用する Azure サブスクリプションを構成する必要があります。
- Power Platform 内の環境への管理者アクセス。
次に、Power Apps または Power Platform 管理センターで以下の手順を実行します。
Power Apps の場合
Power Apps で、アプリの [Settings] を選択し、[Setup pay as you go] を選択します。その後、アプリが含まれる環境と Azure サブスクリプションの紐付けを行います。この紐付けは請求ポリシーと呼ばれます。サブスクリプションの詳細を入力し、[Next] をクリックします。
Power Platform 管理センターの場合
Power Platform 管理センターでは、管理者が請求ポリシーの作成と編集、および同一 Azure サブスクリプションへの複数の紐付けを行うことが可能です。この方法は、チームが所有する環境の Power Platform の料金を、チームの Azure サブスクリプションにまとめたい場合に便利です。Power Platform 管理センターで、[Policies]、[Billing Policies]、[New billing policy] の順に選択し、その後の手順に従います。
コストの監視と管理
プリペイド式ライセンス モデルから従量課金モデルに移行するときには、予期しない料金の発生を防ぐためにコストを適切に監視する必要があります。Power Platform 従量課金モデルでは、さまざまなコスト監視オプションを提供しています。
Azure Cost Management
Azure ポータルでは、Azure Cost Management でメーターに関連付けられた料金の内訳が表示され、時系列で使用額の増加を確認することもできます。
Azure Cost Management では、各メーターの予算を設定することもできます。その予算を使用して、定義したしきい値に使用額が達した場合にアラートがトリガーされるようにすることができます。また、管理アクションが自動でトリガーされるように構成して、Azure の使用額を管理することもできます。
Azure タグ
サブスクリプション内の Power Platform アカウントのリソースには、カスタマイズ可能なタグを追加できます。タグを利用すると、関連する Azure リソースを、ソリューションの領域、部署、コスト センターなどに分類して簡単に整理できます。これは、内部のチャージバックと管理機能を整理するのに便利です。
詳細な使用量レポート
Power Platform 管理センターでは、レポートをダウンロードして、Power Platform 従量課金プランの Azure メーターで発生した料金の内訳をユーザー、アプリ、環境別に詳細に確認できます。
従量課金プランとプリペイド式プランの併用
従量課金プランは環境ごとに構成されるため、必要な環境に柔軟に採用することができ、必要のない環境ではプリペイド モデルを引き続きご利用いただけます。たとえば、以下のお客様は人事部門と財務部門の環境で従量課金プランを採用し、マーケティング部門の環境では利用していません。
また、従量課金プランを採用した環境でも、特定のアプリに対して Power Apps per app 従量課金メーターを無効にすることができます。そうすると、ライセンスを所有していないユーザーは、そのアプリへのアクセスが拒否されます。
プリペイド式の Power Apps per app サブスクリプション プランでは、従量課金環境内のユーザーにライセンスを付与することはできませんが、per user プランであれば可能です。このため、従量課金環境内のアプリを使用する一部のユーザーに per user プランでライセンスを付与し、それ以外のユーザーには Power Apps per app 従量課金メーターを使用するといったことができます。
今後の予定
今後は、Azure サブスクリプションに環境を紐付けるための API の導入や、Power Platform Center of Excellence スターター キットとの統合などを予定しています。長期的には、従量課金モデルにおいて有益なさまざまなサービスを提供していく予定です。また、ぜひ皆様のご意見をお聞きし、今後の取り組みに反映させていただけますと幸いです。
実際にお試しいただき、ご意見をお寄せください!
ドキュメント: Power Apps 従量課金プランに関するドキュメント (英語)
ご質問: Power Apps コミュニティ フォーラム (英語)
Microsoft Mechanics の動画: https://aka.ms/IgniteNov21/PPMechanics (英語)

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