Dynamics 365 Supply Chain Management で生産プロセスを最適化
(本投稿は米国時間2021年11月3日付のブログ投稿の日本語抄訳です。内容に齟齬がある場合、原文を正とさせていただきます。)
製品やサービスを顧客向けにカスタマイズし、イノベーションを促進し、製品のサービス化などの新しいビジネス モデルを導入するためには、俊敏で接続性のある持続可能な製造プロセスを構築することが不可欠です。これには、プロセスを高度に自動化し、製造現場とサプライ チェーン全体の可視性を向上させる必要があります。また、管理や制御のリモートでのサポートを強化するには、工場全体でソフトウェアを標準化し、相互運用性を高めることがさらに重要です。
こうしたことから、最新の Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Management では、インテリジェントな製造オペレーションによるイノベーションを実現するために、新しいビジネス モデルを採用し、計画策定の俊敏性を向上させ、製造現場の可視性を強化し、常時稼働やビジネス継続性を確保するための投資を行いました。
これにより、製造業者が任意の製造実行システム (MES) をシームレスに使用し、データ サイロを排除できるようになりました。製造現場の可視性の向上により、製造プロセスを最適化し、スループットと品質を改善することが可能です。
優先度に基づく計画策定
供給計画を策定する際に製造業者が直面する課題の 1 つが、同じ品目の注文が同時に複数入り、そのすべての需要を満たす十分な在庫がない場合の対応です。どの流通センターや店舗で受けた注文に対応すべきか、順番はどうするか、重要な注文はどれか、優先度をどのように設定すべきかを決めなければなりません。こうしたとき、人の手で優先度を検討して計画するのはそれほど難しいことではありませんが、製造業者には、大規模な環境でこれらを自動的に決定するための体系的なプロセスが必要になります。
計画の最適化機能によってマスター プランを策定すれば、製造業者のこうした状況を変えられます。優先度に基づく計画策定の機能を使用すると、日付の他にも、優先度に基づいて最適な補充計画を構成することができます。これにより、重要度の低い注文の前に緊急度の高い注文に対応するよう補充注文の優先度を決定し、サービス レベルの向上、在庫の削減、サプライ チェーンの最適化を実現できます。
計画の優先度は、在庫レベルの最小量、再注文ポイント、最大量を考慮した柔軟な設定に基づいて自動計算され、計画された入庫や配給量を含む手持在庫の見積もりが実行されます。このデータは、あらゆる製品や場所にわたる注文の重要度の比較に使用できます。
優先度に基づく計画策定機能では、以下のことが可能です。
- 計画の優先度の計算、手動編集、既定での有効化
- 再注文ポイントのパラメーターを設定して、補充を管理
- 計画範囲を使用して、配給注文を分割し最適化
- 計画された注文を確定時にグループ化
- 計画優先度の範囲をカスタマイズ
- 計画優先度機能を会社間注文に適用
新たに導入された Dynamics 365 Supply Chain Management の優先度に基づく計画策定 (英語) 機能により、注文の優先度、最新時点での在庫レベル、予想在庫に基づいて、需要が高い品目の補充の優先度がほぼリアルタイムに自動で決定されるため、在庫切れを防止できます。詳細については、オンデマンド セッション「インテリジェントな製造オペレーションによるイノベーション (英語)」をご覧ください。
製造実行システム (MES) との統合
製造業者は、この数十年をかけて 2 つの領域の自動化に多大な投資を行ってきました。1 つは製造ラインと製造設備、もう 1 つはエンタープライズ リソース プランニング (ERP) システムです。MES はこの 2 つの領域の間に位置し、製造業者独自の運用要件を管理します。この 2 つの自動化領域について製造業者が抱える課題の 1 つが、両方にまたがるトランザクションが発生したときに、どのようにデータの同期を保つかという問題です。
Dynamics 365 Supply Chain Management に MES が統合されると、両システム間でデータとトランザクションの同期を維持できるため、この問題が解決されます。また、Dynamics 365 Supply Chain Management と一般的な製造実行システムの統合が迅速化、簡素化されるため、製造業者がインダストリー 4.0 という目標を達成するための道筋が見えてきます。
サードパーティ製 MES ソリューションと Dynamics 365 Supply Chain Management を統合すると、データ交換がほぼリアルタイムに完全自動で行われます。これは、両システム間でデータが常に最新の状態に維持されるほか、ミスの起きやすい手動のデータ入力の必要性を排除できるという点でも、製造業者にとって大きなメリットです。たとえば、材料消費が MES システムに登録されると、統合された Dynamics 365 にも同じ材料消費が登録されます。これにより在庫記録が常に最新の状態に保たれ、計画や販売などの他の必須プロセスにも役立てることができます。それが製造業者、中でも高い製造要件を持つ製造業者にとって、MES を統合するメリットとなっています。
例として、Dynamics 365 を MES ソフトウェアの Aegis Factorylogix と統合したときのメリットをご紹介します。
「IoT を基盤とする Aegis の MES プラットフォームは、非常に複雑で専門的な部品や、試験場や検査場にわたりリアルタイムで ERP の作業指示の実行を調整するもので、材料、製品、プロセスを厳密に追跡し、きわめて厳格な品質保証要件に対応します。完了状況や材料消費などに関連するさまざまな情報が正確に、迅速に、詳細に提供され、運用データがリアルタイムにフィードバックされるため、ERP が強化されます」—Jason Spera 氏、CEO 兼共同創業者、Aegis Software
MES の統合によるメリットは、この他にも、ERP と MES のデータの統合による製造現場の可視性の向上、スループットと品質の改善、さらに、MES データのコンテキスト化による問題の追跡/トラブルシューティング/解決など、さまざまなものがあります。また、MES 統合ソリューションでは、主な製造実行プロセスや、イベント処理履歴を監視できる一元的なダッシュボードをサポートする、ビジネス イベント インターフェイスを使用できます。
MES の統合 (英語) により、Dynamics 365 Supply Chain Management の実装と運用に関する総コストが削減され、製造現場のエンドツーエンドの可視性が確立され、管理性も改善されます。同時に、マイクロソフトは Dynamics 365 Supply Chain Management とサードパーティ製 MES システムをより迅速に、容易に、安価に統合する方法も提供しています。詳細については、オンデマンド セッション「インテリジェントな製造オペレーションによるイノベーション (英語)」をご覧ください。
総合経済効果 (TEI)
マイクロソフトは、Dynamics 365 Supply Chain Management を展開した場合のビジネスに対する影響の調査を、Forrester Consulting に依頼しました。ソリューションの実装による経済的影響を把握し定量化するために、Forrester は、Dynamics 365 Supply Chain Management の使用経験がある、売上額が 1 ~ 10 億ドルの 5 社の上級管理職 6 名に聞き取り調査を行いました。1 調査の目的は、そうした組織の上級管理者と経済的利益を把握し、実装コストと実現される価値を比較することでした。
価値を生み出す要因
ユーザーからは、生産額が 2,430 万ドル増加、設備のダウンタイムが 150 万ドル相当減少、製造品質の改善でコストを 680 万ドル削減、インフラストラクチャ コストを 1,100 万ドル削減、開発者の生産性向上が 70 万ドル相当と報告され、これらを合計すると、3 年間で 4,433 万ドルの経費削減となることがわかりました。
他にも、定量化されないメリットが多数ありました。たとえば、適用の柔軟性の向上、出荷時間遵守の改善、顧客満足度の向上、予測能力の強化によるサプライヤーとのコラボレーションと計画策定の改善、また、チームと職務の間にあるサイロを解消することによるチーム メンバーの日常業務の改善などがありました。
2 年間の平均投資回収額
3 年間の利益額調査の結果、Dynamics 365 Supply Chain Management への投資額は平均 2,327 万ドルで、投資回収期間は 22 か月でした。投資収益率 (ROI) は 90%、正味現在価値 (NPV) は 2,106 万ドルでした。
お客様からは、システム、プロセス、データの統合によってサプライ チェーン全体が合理化されたという声もありました。また、以前の環境よりもはるかに迅速で安価に拡張が可能になったとも言います。
Dynamics 365 Supply Chain Management への移行によって皆様にどのようなメリットがあるかについては、Forrester Total Economic Impact (TEI) の詳細な調査結果をご覧ください。
レポート全文はこちら: Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Management の Total Economic Impact の調査結果 (英語)
次のステップ
Dynamics 365 Supply Chain Management は、アジャイルで構成可能な ERP ソリューションです。運用の可視性の向上、計画策定の迅速化、設備の稼働時間の最大化により、製造業者、小売業者、流通業者が接続性のあるレジリエントなデジタル サプライ チェーンを構築できます。また、ほぼすべてのソースからデータをリアルタイムで統合し、AI や機械学習を活用してインテリジェンスを生み出し、機会をプロアクティブに検出し、長期的な競争優位性を確立します。
マイクロソフトの最新のクラウド ベース サプライ チェーン管理ソリューションに関心をお寄せいただいているお客様は、ぜひ Dynamics 365 の無料試用版をお試しください。また、先日公開した eBook (デジタル サプライ チェーンの 4 つの柱 (英語)) では、デジタル サプライ チェーンのメリットを解説しています。
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出典

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