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たった1日で生成AI搭載のアプリが動く!キヤノンMJが...
たった1日で生成AI搭載のアプリが動く!キヤノンMJが実践する生成AI x Power Platform 1 day ハッカソン
Mami Uchida
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ギークフジワラ
、ローコード テクニカル リード & エバンジェリスト、日本マイクロソフト株式会社
キヤノンマーケティングジャパンのDX人材育成におけるPower Platform の位置づけ
キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は、グローバルキヤノングループの中で日本国内を中心とするマーケティング活動を担い、キヤノン製品事業と IT ソリューション事業を組み合わせることで事業を通じた社会課題の解決に取り組んでいます。マーケティングの力で未来を創る「未来マーケティング企業」として、グループパーパス「想いと技術をつなぎ、想像を超える未来を切り拓く」を掲げ、多様なステークホルダーとともに持続可能な社会の実現を目指しています。
キヤノンMJは、2025年ビジョンとして「社会・お客さまの課題をICTと人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ」を掲げています。その実現に向けて、人材を人的資本と捉え、積極的な投資を実施しています。特にデジタル人材育成に注力し、社会やお客さまの抱えるさまざまな課題を解決する存在として提供価値を高めることを目指しています。
デジタル人材育成の一環として、キヤノンMJはPower Platformを積極的に活用しています。Power PlatformとはMicrosoftが提供するローコード プラットフォームです。今回のハッカソンで利用したPower Platform 製品は主に以下の4つの製品です。
Power Apps
:簡単業務アプリケーション作成ツールです。コーディングの知識がなくても、モバイルやPCで使えるアプリを作成できます。
Power Automate
:簡単業務フロー自動化ツールです。メールや通知、データの収集や更新など、繰り返し行う作業を自動化できます。
AI Builder
:AIの簡単作成ツールです。画像やテキストの分析、Azure OpenAI Service のGPTモデルの作成など、AIを簡単に業務に取り入れることができます。
Dataverse
:ローコードでデータを管理できるクラウドデータベースサービスです。Power Platformの製品間でデータを共有できるほか、外部のデータソースとも連携できます。
Power Platform
を使うことで、社員自らが業務改善のアイデアを形にできます。また、生成AIを活用することで、従来の業務アプリケーションでは実現できなかったインテリジェントな機能を追加できます。
キヤノンMJでは、Power PlatformはDX人材育成の面、そして業務効率化の両面で有効なプラットフォームであるとして、活用を推進しています。さらにこれを加速させるため、Power Platform と生成AIを活用したシナリオの発掘と展開を行い、生成AIを迅速に業務に取り入れる考え方を企業風土として定着させることを目指しています。
生成AI x Power Platform 1 day ハッカソンを開催した理由
キヤノンMJでは、Power Platformの活用を促進するために、2024年6月25日に「生成AI x Power Platform 1 day ハッカソン」をキヤノンMJ本社(東京・品川)にて開催しました。ハッカソンとは、限られた時間内にチームでソフトウェアなどの開発を行うイベントのことです。
キヤノンMJでは、すでにPower Platform のコミュニティが社内に存在していましたが、漠然と盛り上がりに欠け、なにか手を打たないといけないと危機感を持っていました。そこで以下のような仮説を立て解決策の一つとして生成AI x Power Platform ハッカソンの開催を行うことに決めました。
Hero
スポンサー: 市民開発の会社への貢献について、経営の理解を得ることで推進のスポンサーになってもらうきっかけとしたい。
Hero
アプリ: 全社や部門を横断して利用でき、多くの人が使ってみたいと思うようなキラーアプリを作成する必要がある。
Hero
市民開発者: この活動を通して業務改革するだけではなく、全社のDX人材育成のプランにアラインしていくこと。
Power Platform
を業務に活用するには、ツールの使い方だけでなく、業務改善のアイデアやプロセスも必要です。ハッカソンを通じて、社員が自らの業務について考え、改善策を提案し、実現するという一連の流れを短期集中的に体験し、IT本部長(常務執行役員)もイベントに参加することで、Power Platformの利用を促進しようと考えました。
生成AI x Power Platform 1 day ハッカソンの概要
今回のハッカソンには、キヤノンMJグループの3社から合計4チーム12名が参加しました。各チームは、事前に業務改善のテーマを提出しました。ほとんどの参加者は、Power Platform の経験が無い方々です。
選定されたテーマは以下の通りです。
文書作成アプリ
(チーム: ぱわLab.CBA):
文書管理コンサルにおける「文書分類基準表」の作成プロセス、フォルダ整理、リーガルチェックを行うアプリです。
新規ビジネスナレッジ蓄積と活用アプリ
(チーム: Zerokara Lab):
商品企画業務において、法務・経理・品質に関する確認を頻繁に行っており、その情報をナレッジベースに蓄積するだけでなく、AIによって自動的に質問に対する回答を生成するアプリです。類似するキーワード検索にも対応させ、ヒット率を向上させています。
各種Copilotを活用するプロンプト生成アプリ (
チーム: ダンディ部長の秘蔵っ子):
業務プロセスの流れをアプリ化しつつ、それぞれの作業で必要なCopilot へのプロンプト(指示文章) を生成することで、Copilot 利用を効率的にします。懇親会の調整のシナリオで活用方法を紹介しています。
人事問い合わせアプリ (チーム: 人サポ)
:
人事部門に寄せられる様々な問い合わせをまずは生成AIで自動回答を生成します。解決に至らなかった場合の問い合わせ起票までの流れを仕組み化したアプリです。
生成AI x Power Platform 1 day ハッカソンのスケジュール
ハッカソン当日の時間は大きく分けて午前はテーマ整理、午後は開発とデモと結果発表を行いました。
午前中は、各チームが業務概要、ビジネスインパクト、業務フロー、アーキテクチャ整理の観点で資料を作成し、発表しました。以下は実際にハッカソン時間内に作成された、チーム人サポのアウトプットです。
午後は、約3時間でソリューションを作成し、発表しました。入賞チームにはキヤノンMJ笹部IT本部長/常務執行役員から表彰が贈られました。
優勝したZerokara Lab チーム (左)と表彰を贈る笹部IT本部長・常務執行役員(右)
作成されたソリューションについては次の章で紹介いたします。
作成したソリューション
各チームが作成したソリューションの概要を紹介します。
人事サポート課問い合わせアプリ(チーム: 人サポ)
問い合わせのカテゴリを選択します。
問い合わせのカテゴリを選択すると、FAQを確認するように促されます。この情報でも解決できない場合フォームから問い合わせすることができます。
新規ビジネスナレッジ蓄積と活用アプリ
新規ビジネス企画時に必要となる法務・経理・品質に関するQAをこのアプリに登録しておき、さらに検索性を高めるために自動でカテゴリの分類、タグ付け、類似語も生成してデータベースに登録しておきます。ユーザーが問い合わせを起票する際には、このデータベースから先に回答案が生成され提示されます。解決した場合は、問い合わせを起票する必要なく解決することができます。
検索精度を上げるためにカテゴリ、タグ、類似語をAI Builder のAIプロンプト(生成AI)の機能にて自動生成させています。
Power Apps
キャンバスアプリで既存のFAQを検索する際は、以下のようにDataverse内に保存される情報をAIプロンプトにて要約して回答しています。
各種Copilotを活用するプロンプト生成アプリ
このアプリは、Copilotに入力するプロンプトを生成AIで自動生成するアプリです。手作業の多い懇親会の幹事業務の効率化を行うためにCopilot for Microsoft 365 などに利用することができるシナリオにて利用しています。様々なツールに搭載されているCopilot に利用するプロンプトを生成するPower Apps キャンバスアプリを作成しました。
実際の画面は以下のような画面です。左のメニュー画面が上から下に流れる業務フローになっており、すべきことがすぐに分かるようになっています。
このアプリを利用することで作業の流れを理解するだけでなくだけでなくプロンプトを生成することができます。Microsoft Forms のCopilot に利用してフォーム作成を高速化します。
文書管理アプリ
このアプリでは、必要事項をPower Apps のアプリで入力することで、多様な規定フォーマットのドキュメントを出力することができます。
Power Apps
の入力画面はユーザーが迷わないようにウイザード形式で入力することができます。
ソリューションの期待効果
業務課題に即し、使いやすさにもこだわりがあるアプリは、それぞれ以下のような効果が期待されています。
タイトル
想定ユーザー数
As-Is/
To-be
時間
削減時間
定性効果
新規ビジネスナレッジ蓄積と活用アプリ
1,000
As-Is
160
時間/年
To-Be
40
時間/年
120
時間/年
・質問力の向上
・暗黙知の形式知化
・生産性を高めようとする雰囲気の醸成
文書管理
10
As-Is
400
時間/年
To-Be
80
時間/年
320
時間/年
・他のサービス展開ノウハウ獲得
・社内でPower Platformを活用した業務効率化、生産性向上の事例ができ、他メンバーに促進、啓蒙できる
人事サポート
5,000
As-Is
200
時間/年
To-Be
50
時間/年
150
時間/年
・新任担当者の早期立ち上げ
プロンプト生成アプリ
100
As-Is
100
時間/年
To-Be
10
時間/年
90
時間/年
・幹事の精神的な負荷の軽減も見込まれる
(新人や若手が幹事を任されることが多いためお店選びや日程調整に気苦労している)
実施に際してのコメント
ハッカソンの実施に際して、キヤノンMJのIT本部の方々から、以下のようなコメントをいただきました。
「Power Platformと生成AIの組み合わせは、業務改善と価値創出の両方に効果的だと感じました。IT部門としても、このプラットフォームを積極的に推進していきたいと思います。」
「ハッカソンに参加した社員の皆さんは、1日で素晴らしいソリューションを作成されました。Power Platformと生成AIの使い方だけでなく、業務改善のアイデアやプロセスも素晴らしかったです。今後も、このようなイベントを通じて、DX人材育成を支援していきたいと思います。」
また、ハッカソンに参加したキヤノンMJの社員の方々から、以下のようなコメントをいただきました。
「完成できたのは一部のみでしたが、これまで課題に感じていた問合せ対応の解決策の糸口を見つけられた気がしました。参加出来て良かったです。」
「今回はPower Platformに抵抗のある若手社員をあえて誘って参加しましたが、アプリ開発に対する抵抗感が軽減したと言っており、先輩の立場からもすごく嬉しい成果になりました。」
「限られた時間内でできる最大限のアウトプットができたと思います。同じ本部の人が発表を聴講していて、終わってからたくさんメッセージやフィードバックをいただけたので満足しています。」
今回はキヤノンMJの「生成AI x Power Platform 1 day ハッカソン」の取り組みをご紹介しました。
マイクロソフトは、Power Platform や生成AI を通して、キヤノンMJのさらなるDXによる業務改革を支援していきます。
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