(本投稿は米国時間2021年10月26日付のブログ投稿の日本語抄訳です。内容に齟齬がある場合、原文を正とさせていただきます。)
マイクロソフトは本日、Microsoft Dynamics 365 の税計算機能(Tax Calculation)の一般提供を開始しました。
この 30 年にわたるテクノロジの発展により、世界はどんどん小さくなってきました。グローバル化とデジタル化が着実に進む中、市場保護主義、世界的な景気後退、そして近年のパンデミックといった強い逆風にさらされながら、私たちの生活やビジネスは変化してきました。今日では、地理的に遠く離れた場所にいる人とも以前よりすばやく簡単につながり、コミュニケーションを取ったり取引を行ったりすることができます。これにより、あらゆる規模の企業が、新しい市場、サプライヤー、優秀な人材、収入源を求めて世界中を視野に入れることができます。
各国には独自の法令が無数にあり、それぞれが進化を続けています。また、地域、州、国の税務当局の法的要件も頻繁に変わるため、企業がビジネスをグローバルに展開するにはこれらの課題に対応することが不可欠です。これまで世界の税務コンプライアンスを遵守するには、財務や税務のエキスパートをフルタイムで雇用して、ポリシーの変更を監視し、変更があればそれに応じて企業のプロセスを変更するしか、ビジネス リーダーたちに選択肢はありませんでした。実際に今でも、場合によってはこの方法が標準の解決策となります。
こうした状況を変化させようとしているのが、Microsoft Dynamics 365 の税計算などの機能です。税計算は、税務関連データの統合を支援するだけでなく、税計算プロセスを効率化する自動化能力も備えています。同時に、プロセス内でのミスを減らし、コンプライアンス リスクの最小化にも役立てることができます。この新しい税計算サービスによって、グローバル企業の税務コンプライアンス対応を簡素化し、改善できます。
詳細については次のブログ記事をご覧ください: Dynamics 365 でグローバルな運用の複雑さを軽減 (英語)
税計算サービスの概要
税計算は、マイクロサービスを基盤とするスケーラビリティに優れたマルチテナントのローコード税計算エンジンで、税の決定と計算プロセスを自動化、簡素化します。Microsoft Azure を基盤に構築されたスタンドアロン ソリューションであり、柔軟かつ完全に構成可能で、Dynamics 365 アプリケーションの税の決定と計算の機能を強化します。
税計算は、一般提供開始時には Dynamics 365 Finance および Dynamics 365 Supply Chain Management と統合され、その後近いうちに、他の純正アプリやサードパーティ製アプリと統合することを予定しています。また、Dynamics 365 Finance と Dynamics 365 Supply Chain Management の既存の税計算エンジンと完全に下位互換があり、Feature Management ワークスペースの新機能として展開できます。税計算サービスは、法人やビジネス プロセスといった細かいレベルでも有効化できます。
税の決定
今日の企業にとっての課題の 1 つは、取引に適用する適切な税を決定する作業です。この課題は、取引する地域や、取引の量や種類が増加するにつれて難しくなっていきます。
税計算では、通常、注文書や請求書に記載されている出荷元や搬入先の住所、品目のカテゴリ、取引先の特徴などの税務書類の記入事項の組み合わせに基づいて、税法、税率、控除をローコードで柔軟に構成して決定できます。
税計算
また別の課題としては、取引に課される税額の計算があります。これも同様に、取引規模が拡大し、地域が増加するほどそれぞれの当局や要件に合わせる必要が出てくるため、対応が難しくなります。
税計算サービスでは、複雑な税額計算式、および利潤やその他の税法に応じた税額計算などの税務当局に求められる条件をローコード エクスペリエンスで構成して実行できるため、この課題への対処に役立ちます。
複数の税務登録番号への対応
さらに、複数の税務登録番号を 1 つの法人や団体にまとめたり照合したりする必要がある場合も、企業にとっては厄介です。複数の税務登録番号を追加する場合、税の決定と計算の手順は何倍も複雑化します。
税計算では、法人、顧客、ベンダーなどの単一の組織の下で、複数の税務登録番号を使用できます。また、販売注文や購入注文などの課税対象となる取引ごとに、適切な税務登録番号を自動的に決定します。このほか、振替価格操作、委託倉庫、低リスク卸業者などのさまざまなワークフロー シナリオにも対応します。
新機能の税計算と併せて、変更が加えられた税務レポートには、単一の法人からの VAT 申告、EU 販売リスト、イントラスタットといった国独自の税務規制レポートを生成するという新機能が追加されました。複数の税務登録がある企業の場合、対象の取引に関連するデータ セットのみのレポートを、特定の国の税務登録を適用、選択して生成し、該当する国の税務登録での税務申告に必要な、法的要件を満たす形式の電子ファイル、またはレイアウトのレポートとして出力します。
税務レポート機能の機能強化の詳細、および提供対象の国と地域については、リリース ノートおよび TechTalk (英語) をご覧ください。
移動オーダーに対する課税
最後の課題は、移動オーダーに対する税の決定と計算における、国外市場の税務コンプライアンスの複雑さやリスクです。この状況はごく一般的に発生するもので、たとえば、企業が地域の製造拠点を設けている場合や、複数の国の各店舗に商品を供給する中央倉庫を保有している場合などに起こります。
税計算では、移動オーダーに対する税額計算が可能であり、EU 内での商品供給に適用される EU 規制「Exempt intra-EU supply according to article 138 of the Directive 2006/112/EC」に対応できます。
提供地域
税計算は、以下の Azure リージョンで提供されます。
- アジア太平洋
- オーストラリア
- カナダ
- ヨーロッパ
- 日本
- 英国
- 米国
税計算サービスの機能の詳細については、税計算の概要、および先日公開した税計算に関する TechTalk (英語) をご覧ください。
Dynamics 365 の新しい税計算機能に対するパートナー様のご意見も併せてお読みください。
- EY のブログ「Microsoft Dynamics 365: 企業の複雑な税務状況への対応をサポート (英語)」より: 「この新しい税計算サービスの柔軟性と、EY チームが持つ世界の税務関連の知識や経験を組み合わせれば、非常に複雑なサプライ チェーンのシナリオから、きわめて日常的な間接税務コンプライアンスまで、業務全体で税計算を自動化できます」
- KPMG のブログ「Microsoft Dynamics 365 と税務機能 - パート 1 (英語)」
次のステップ
すぐに税計算と税務レポートの使用を開始されたい Dynamics 365 のお客様は、ドキュメント「税計算の使用を開始する」をご覧ください。また、Dynamics 365 Finance の利用にどのようなメリットがあるかや、税計算や税務レポートなどのマイクロサービス ソリューションがグローバル展開にどのように役立つかを知りたい場合は、ぜひ無料試用版をご利用ください。
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